「―――…これでよし、っと…」
日本にいるボンゴレ構成員に連絡を取った後、獄寺はマンションから程近いコンビニで2人分の夕食を買った。
バイト先にも電話を入れて、今日はこのまま直帰させてもらうことにした。
「それにしても………」
次期10代目の沢田さんの情報は、ボンゴレ内でもトップクラスの数人と、日本に滞在している構成員しか知らない筈だった。
それなのに、どこから情報が洩れたんだろうか…?
まだ敵襲だと決まった訳では無いが、用心に越したことは無い。
「――…しばらくは、俺んちで寝泊まりしていただくか………」
防弾ガラスに防火扉、その他いろいろ入居する前に改造を尽くした自分の家ならば、
彼の人のお宅よりはきっと安全に過ごしていただけるだろう。
―――……しかし……!
(またあの生殺しの日々の再現が………!?(泣))
いつまで続くかも分からない日々を、またあの人と同じ屋根の下で…………。
(………最悪、ホテル取らせて頂こう…………)
トボトボと自宅に向けて歩く俺は、そんな甘えが通用しない事を、このあと十二分に思い知らされるのであった…――。
――…ガチャリ…。
「――…沢田さん、帰りまし…た………!!?」
リビングのドアを開け、静かな室内に足を踏み入れた俺は、目に飛び込んできたその光景に言葉を無くした。
先程まできちんとした正装でコートを羽織っていた筈の彼、そう、愛しの沢田さんは、
ワイシャツのボタンを3つ目まで開け、ネクタイ、靴下、ジャケット、それにズボンまで脱ぎ捨てるという大変ラフな状態(汗)で
ソファに腰掛けたまま、デカい酒瓶をあおっていたのであった。
「さ、沢田さん……!どどど、どうしたんですか、コレッ………!?」
近付くと、ぷ〜んと強い酒の香りが彼の身体から漂った。
「…………ん? ―――…あぁっ…!ごきゅれらきゅん……!
…………おれはぁっ、すっごい、おこってるんらよぉ〜〜……!?」
普段の彼からは想像もつかない酒乱っぷりで、俺は思わず呆然と立ち尽くす。
「ちょっとぉ……!らにしてるろら〜〜…!はやくこっちにすわんらさいよぉぉ〜…!」
すると、すでにだいぶ酔っている様子の彼の人は、俺の手首を掴んだかと思うとそのままものすごい力で引きよせて、
―――ドスン…!
俺はソファの上に半ば転がるように落ち、その後の展開に目をかっ開いて固まった。
「…………さ、さわだ、さん………」
みるみるうちに、彼の人の白く細い手がするすると伸びてきて、仰向けに転がったままの俺の服を掴んだかと思うと、
パンツ1枚しか履いていない、白い足がむき出しになった小さなお尻を、なんと俺の腹の上に落としたのだった……!
「―――……う、あ、…あ”あああぁ〜〜…………!!?」
あまりの事に悲痛な悲鳴を上げてしまった俺は、ますます沢田さんの気分を害してしまったようで、淡いピンク色に染まったお顔で睨まれ硬直した。
「――…なぁに、なんかもんくあんろぉ…!?
おれはねぇ…、きみろこと、すごいすきらけどさぁっ…!
…きみはおれろことぉ、じょうしとかぁ、じゅうらいめとかぁ、どぉせそんらふうにしかおもってらいんれしょ〜〜…!?」
「わわわわ…!さわださんっ……!やめてくださいぃ〜…っ!」
胸ぐらを掴まれてくがくと揺すぶられながら、俺は今しがた大切なこの人が仰ったことを、出来る限り頭の中で反芻した。
(…え”? …いま、じょ、じょうし…?とか、じゅうだいめ…、とか言われた気が………。
………やべぇ、やっぱバレてたのかな………?
…つ、つーかそれよりも………、「だいすき」…?とか、聞こえなかったか………?
……ま、まさかな……。 あはははは……。ま、まさかそんな………)
「――…ちょっとおぉ…!きみはおれろはらし、ちゃんときくきあんろぉ〜〜…!?(怒)」
「…へっ!? あ、いや、聞いてますっ!ちゃんと聞いてますよっ……!!
だ、だから沢田さんっ、そこで腰動かすのやめてくださいっ(泣) つーかどいてくださいっ…!
そんなカッコで俺の上に跨んないでくださいぃ〜っっ…!」
すると彼は、急にピタッと動きを止めて、ぐっと顔を近づけたかと思うと、至近距離から俺の目を覗き込んできた。
「…………じゃあ、おれろことぉ、どーおもってんろかぁ〜い〜ってみらさいよぉぉ〜…!」
「………へ?」
「…へ?じゃないらいれしょぉ〜…!?ちゃんとおれろ目をみていってみらさいよぉ…!」
「……………」
「………(怒)。なぁんでいわらいのぉ〜…!!おれはきみろことぉ〜!すっごくらいじらっていってんろにぃぃぃ…!!」
またまた俺は彼の渾身の力でガクガク揺すぶられながら、
(…なんで俺、こんなに怒られてんだ………?
…っつーか、沢田さんは一体何に怒ってらっしゃるのか………。
……これじゃあまるで、女のヒステリー………。
………………。
―――…!?
まままま、まさか……!!? さ、沢田さん…、俺に惚れてらっしゃるんじゃ…………!!?(えぇぇ〜?)
だからこんなに俺のこと………!
―――…そーだ…、…さっきの「好き」は聞き間違いじゃなかったんだ……………!
だからあの時もなかなか帰してくださらなかったのかも…………!(え”ぇぇぇ〜…))
『ごくでらくんっ!帰っちゃヤだよ!………だって俺……、きみと離れたくないんだもん……!』(←先週のやりとり 獄寺フィルター&超妄想中)
『さっきはどこ行ってたのさ…! も、もしかして…、女の人といっしょにいたの………!?
なんでっ…!?………俺、きみじゃないとダメなんだよ……? …俺のこと、もうきらいになっちゃったの………?』(←現在のやりとり 超獄寺フィルター以下省略…)
(………ぐッ…! ヤベぇ…、スゲー破壊力だぜ、沢田さん………。
―――…! 待てよ…? じゃあ俺が、
『――沢田さんっ!あいしてますっ…!!』(ガバッ!キャ〜…!)
的なことをすれば、沢田さんのお怒りは解けるんじゃ………。
……い、いやいや、でもそんないきなり破廉恥なこと………(すでに脳内が十二分に破廉恥ですが…(汗))
キャ〜〜ッ!!(どこの乙女だ…!)
…………いや、でもチャンスだぜ、俺……!
沢田さんの熟れた桃のようなこの表情…!なめらかで絹のような滑らかな肌!
シャツの間からちらちら見える細い鎖骨とその下が………。
……ブハッ!!
お、俺の理性を木っ端微塵の海の藻屑にぃぃ……………!!?)
(―――……だ、ダメだ…、…………もう耐えられんっ!!!)
俺の頭の中では、キラウエアより熱いマグマがぐつぐつと煮えたぎり、そして遂に、沢田さん目がけて
愛する人のいる下界へと飛び出して行ったのであった。
「―――…さ、さわださんっ…!!」
「……ん〜…? らぁに〜〜…?」
「…お、俺、今まであなたの気持ちに気付かずに………、ほ、本当に申し訳ありませんでしたっ……!!」
『――…ドスンッ!』
「――……へ?」
俺は愛しい人の身体を素早く持ち上げると、己の身体をぐるんと反転させ、そのなめらかな肢体を柔らかなソファへと押しつけた。
(――…あぁ、沢田さんの綺麗なはちみつ色の瞳が赤く潤んで………)
「………さ、さわださん………、お、おれも………、あいしてます………」
そしてしばらく見つめ合った後、ゆっくりと、俺は赤く熟れたその唇に己の唇を重ね、しっとりとしたその表面を丹念に味わった。
――…すると、愛しい人の唇が徐徐に上下に開かれていき、俺はおそるおそる、そろそろと舌を忍ばせた。
(………やべぇ………、思ってたよりずっとやわらけぇ………)
少々酒のにおいがきつかったが、そんなもの全く気にならないくらい、俺は沢田さんの妖艶ともいえる白い肢体に酔いまくっていた。
――…十二分に唇を堪能した後、喉元から鎖骨にかけて、ゆっくりと舌を下ろしていく。
少々はだけていたシャツのボタンを外していくと、うすく色づいた桃色の乳首が目に入り、俺の息子はこれから先を期待してMAXギンギンに立ち上がった。
(………、ぐおおおお〜〜っっ!!! ………は、はなぢ、でそう…………!)
「……さ、さわださんの…、ちくびが………っ」
ぷるぷると震えてとまらない指を、おそるおそるそこへと持っていく。
するとそれが、繊細な感触を指先に伝えて来たと共に、ふにゃっとやわらかく崩れて、
「――――!!!?」
俺の身体は100万ボルトの電流に頭のてっぺんから身体の末端まで貫かれ、ピキィィンと激しい音を脳内に響かせた後、
―――…しばらくのあいだ、焼け焦げの死体のごとく可笑しな姿勢のまま固まったのだった…。
(神様ありがとう……!仏様ありがとう……!全ての人たちありがとう……!!俺を産んでくれたお袋ありがとう……!!
――そしてさわださんっ…!あなたは本当に天使だったんですね………!!おれはいま、最高に幸せっす………(泣))
―――……しかし…!
本当は、天使は悪魔だったのです(笑)
「――――……すぅ、…すぅ、…すぅ、…すぅ、…すぅ、…すぅ、…すぅ、…すぅ、」
「…………ん?」
どこからともなく響いてくる安らかな寝息。
(………ま、まさか………(嫌な予感……。))
おそるおそる彼の人に視線を映すと、獄寺は大粒の涙とともに、緑色のスライムとなって崩れ落ちた、そうです…………。
『あぁ無念、あぁ無念…。
ひどいですぅ、さわださん…………。
なんで寝ちゃうんですかぁ、さわださん………………(死)』
…まだ、続いております^^;